授乳期間中に発熱した場合はどうしたらいいでしょう。
極論をいえば、伝染病でない限り授乳はしても構いません。
ただし伝染性のウイルス感染症で発熱した場合は
母乳そのものからの感染より、手や咳などの接触感染、飛沫感染が
問題になります。
ウイルスは細胞の透過性が高いので母乳の中に出てきます。
しかし、人の体の不思議なところは、母乳の中にウイルスがあっても
それを制御する物質も含まれているので、母乳そのものからの
感染は滅多にないようです。
インフルエンザも同様で、母乳そのものより
母乳を与えるという行為そのものが感染の原因になるようです。
一般的には、ママが発熱しているときの母乳は質が悪く、
膿が混じっていることもあるので、与えないほうが良いという意見もあります。
逆に感染性の病気ではなくても、乳腺炎などでは母乳に膿が混ざっていることもあり
膿が混ざった母乳を飲ませることと、母乳を中止することの
どちらが赤ちゃんにとって利益があるかということからいえば
たとえウイルスや膿が混じっていても、免疫の含まれる母乳を中止することの
デメリットのほうが大きいとする意見もあります。
どちらも、もっともな意見です。
どちらが正しいとも、まちがっているともいえません。
その時々の状況で判断するしかありません。
熱の為に、非常に体力が弱り体調が悪いのであれば
授乳は中止したほうが良いでしょうし、
お乳が張って仕方なく、寝ながらでも飲ませたほうが楽になるのであれば
飲ませたほうがよいでしょう。
熱が出ている母乳を与えることに抵抗や迷いがあるなら
中止して熱が下がるまでミルクにして、母乳は定期的に絞って捨てましょう。
発熱中たとえ張っていなくても、定期的に絞っておかないと
熱が下がって、さあ授乳というときに出なくなってしまいます。
経験から言えば、ママが風邪やインフルエンザで発熱したときに
授乳して、赤ちゃんが感染したり具合が悪くなったことはありません。
だからといって、たぶん大丈夫とは答えられますが、
全く安全であるともいいきれません。
薬も同じことで、鎮痛剤や風邪薬、薬と呼ばれるものは
たいてい母乳に出ます。
でも、強い精神安定剤以外なら大丈夫といわれています。
大丈夫、というのは赤ちゃんに悪い影響がないということです。
母乳を通してウイルスも、細菌も、薬の成分もいくけれども
大丈夫ということです。
ですから、受け手である赤ちゃんの体力が弱っているとか
未熟児であるとか、哺乳力が弱いとかいった場合は
中止したほうが良いでしょう。
母乳を中止するかどうかは、赤ちゃんにとって
母乳のメリットよりデメリットのほうが大きい場合や
ママの負担が大きく苦痛を感じたりする場合などを目安に
判断するとよいでしょう。
一般的な風邪による発熱なら、授乳を続けても大丈夫だし
薬を飲んでも差し支えありません。
多分、みなさん、出産の後に抗生物質や鎮痛剤を飲んでいるはず。
まだまだ寒いので、油断しないで自己管理していきましょう。